2017年9月9日土曜日

古いワイン(その2):そのワインどこから来たの? そして日本の偽ワイン問題

売れ残りのワイン、ブルゴーニュにて
存在しないことで有名な大きいサイズのDRC34、楽天より
私は、古いというか「古すぎる」ワインやシャンパンまでが、日本である意味流行しているのに驚いています。そして同時に、偽物のワインを日本でも沢山見かけます。特に高級アペラシオンのものが多いけれど、そればかりでもありません。

日本の読者の皆さんのために、ワインを長く保存するために、どんなワインをどの位、そして何のために保存するのか、など簡単なアドバイスを前の記事(古いワインその1:ワインは何でも長く置いておけば置くほど美味しくなるの?)に述べました。

では今度は、古いワインを購入するときのアドバイスと注意する点について述べたいと思います。


もし古いワインが欲しければ、一番良い方法は、生産者で瓶詰めした後すぐのワインを購入し、常時12度のセラーで10年くらい年を取らせるのがよいでしょう。もちろんそれは誰にでも可能ではないからこそ、プロが熟したワインを提供するのでしょう・・・

では今、それでも皆さんがどうしても古いワインを購入したかったら、二つ大事な注意点があります。まず最初に、ワインが本物かどうか注意して! これがよく問題になるので、後でこの点に戻ります。次に、保存状態がどうだったか注意して! そのワインは常に12度で保存されていましたか? 残念ながら、全てのプロが十分冷涼な上質のセラーに保存しているわけではありません。ワインは高温にさらされていたり、セラー環境でないところに長く放置されていたりはしていないですか? 栓の状態、ワインの液レベルなども確認してください。


どこのだれから古いワインを買うか?

決して個人所有者から購入しないように。個人ではワインの真正や良い保存状態は保証できません。ワインのことを良く知っていて、かつ正直なプロのところへ行ってください。但し、残念ながら皆がそうではないので注意が必要です。

貴方がそれほど詳しくなく、購入しようとしているワインについて確証がなければ、15年以上などの大変古いワインのことは諦めてしまったほうがよいかもしれません。いずれにしたって古いワインが興味深いことは大変稀ですし、何よりも、貴方自身が騙される危険性があります。皆さんに覚えていてほしいのは:


もう存在しないワインを夢見るな!

ワインが何十年もどこかの地下で眠っていて、奇跡的に発見されたというような話を信じないでください・・・

そういう奇跡の古いワインがどこから来ているのか?

一つ目の出所は、売れ残りの在庫です。そういうワインなら、沢山あります。有名なところではベジョ、パトリアッシュといった大手ネゴシアンにあるでしょう。日本の輸入者によっては、こういう売れ残りの在庫を購入してラベルを貼り直しているようです。そういうワインは、理由も無く売れ乗っている訳ではないでしょうから、品質に疑問はあったとしても、それらは一般的には本物でしょう。フランスでは誰も偽物のサヴィニー・レ・ボーヌの40年物なんか喜んで作ろうと思いませんし・・・そういうのは、例えばルモワスネのところなどには沢山あって安いです。ネゴシアンがそういうワインを安値で販売し、そして日本の輸入者や販売者、そしてレストランやバーの多くを幸せにするのです。

そして二つ目の出所は、個人所蔵です。
個人のセラーから出てきた古いワインが、プロによってあまり躊躇もなく薦められることもあります! こういった場合、ワインが本物で、常に良い保存だったか保証することはほぼ不可能です。実際これが、例えば著名なオークションハウスで行われているのです。また、パリのワインショップなどが自身のウェブサイトでフランス人の顧客の個人所蔵のワインを預かって委託販売を行っているという例も聞いています。そのショップは古い年代のワインを探している顧客を抱えているそうです・・・また、私自身もボーヌでなかなか奇怪な古いワインを販売しているワインショップに行ってみました。少なくともこれらのワインショップは、日本人顧客に大変人気のようです。

日本のフェイスブックやインスタグラムなどでは、出所不詳だったり、あまりにバカバカしい古いワインを、場合によってはプロや、または酒屋でも業者でもない人のところでも大変よく見かけます。これらのワインは見るからに販売のために合法的に輸入されたものではないでしょう。日本では、ワインを輸入販売する際には、食品検疫の成績表や、通関のための適法な申告などが必要です。(合法的に通関されたワインには、日本の輸入者の裏ラベルの表記があります。そして言うまでもなく販売業には酒販免許が必要です。)これらの規則を頻繁に逸脱し、結果的に日本では誰でもがどんなものでも販売しているという状況に、私たちは大変落胆しています。


ボーヌのワインショップから来たワイン、2017年8月


2017年、日本のフェイスブックより。
(年を示した)細ラベルが無い!栓は??幸運な所有者曰くこれは73年だったそうです!このアペラシオンでは遥かに古すぎるようですが、それでもジャイエのワインは皆を夢見させるようです・・・


インスタグラムより、2017年


インスタグラムより、2017年
そして三つ目の出所は、偽物です。
奇跡のワインは、偽物であることが多いです。日本には、大変沢山の偽ワインがあります。フェイスブック上や楽天などのネットショップだけでも至る所で見られます・・・ 一番多い詐欺は、古い空き瓶にワインを詰める手口です。これが一番簡単です。特にボルドーやブルゴーニュのグランクリュの著名ワインはそうすることが多いようです。栓やキャップが年相応でなかったり、よくラベルが(年代を偽るために)異様に汚れたり破れたりしていたり、時にはラベルの上にワインがこぼれた跡があったり、など・・・偽物は時に馬鹿げた様相です。それから最後にもう一つ注意してほしいのは、偽造者はずる賢く、顧客の信用を得るために本物のワインも同時に販売するのです。クルニアワン、LVMHとアッカーマンの問題、またホワイトクラブなど、最近の詐欺の例でもそうでした。

追記: 偽ワインの数多くの例は、こちらのブログ:フェイクワインを参照してください。

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